「資格を取ると貧乏になります」(書評)
「資格を取ると貧乏になります」
著者:佐藤 留美 (SATO Rumi)
出版社:新潮社,2014
(2022.1.3 読了,図書館蔵書)
定価:本体680円(税別)
オススメ度:☆☆
難易度:初心者~中級者?
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ヒトコト感想
(注意:今回はヒトコト感想どころか管理人がダラダラと自論を展開しています)
日本人の大好きな「資格」について教えてくれる一冊。
全6章構成となっており,1~4章までは
第1章・・・弁護士の虚しい現実
第2章・・・公認会計士の悲しい現実
第3章・・・税理士の苦しい現実
第4章・・・社会保険労務士の厳しい現実
といった感じで,名だたる国家資格にまつわる残酷な事実や,
資格制度のカラクリについて紹介されています。
弁護士は言わずと知れたエリート資格。別世界のお話。と思いながら読んでいました。
とはいえ,2章の公認会計士や3章の税理士については少し複雑な思い出が...
私の父が自身の出身大学を自慢する際は,
「俺のいたゼミでは4人も公認会計士を輩出した」がお決まりのセリフでした。
それへの返答も毎回「で、あなたは?」がお決まりでしたが、
公認会計士という資格もよくわからないけど,難関資格という認識でいました。
また,ある日の事。
祖父母が経営するお店に,お世話になっている公認会計士さんが
御子息を連れていらっしゃったことがありました。
「息子の方もよろしくお願いします」という営業だったのでしょうが,
ご子息のお名刺を拝見しますと肩書は公認会計士ではなく「税理士」でした。
きっと成長の過程でもご苦労なさったんだろうなぁ...と勝手に想像してしまいました。
本書でも触れられていますが公認会計士や弁護士は税理士の仕事もできますとか、
税理士には試験合格者だけじゃなくて国税の天下りでもなれますとかとか,
別の本で読んですでに知っていたので,優秀な親を持つのは不幸なことかもなぁと。
そんな名だたる有名国家資格が国策による供給過多やIT化により危機にさらされているというのが,本書の4章までの内容でした。
正直なところ,私にとっては分野違いで興味のない資格達ですが,
制度設計のミスのシワ寄せは,末端の力ない受験者や資格取り立ての人に行くんだなぁと。
他の資格でもほぼ同じような構造なんだろうから警戒しなければと学びました。
(以前,片手間で税理士の勉強してみようかと思ったと書いたが。あれは嘘だ!)
本書では紹介されていませんでしたが,時期が時期ならFPも紹介されていたかもなぁと思いました。
FPことファイナンシャルプランナーも国家資格の一つ?あるいは同等資格?ですが,
こちらも天下りと云々と黒い噂が絶えない資格として有名ですよね。
最低限の能力の証明として取得した資格なのに,毎年多額の維持費がかかるのはなぜ?
基本的に~協会だとか~連合会とかいう組織が用意されている国家資格は近寄りがたいなぁと私は考えています。
最後に5章で取り上げられていた資格はこれまた有名な「T〇EIC」。
こちらは,国家資格ではないものの語学系の民間資格としては筆頭ですよね。
そして,私の嫌いな資格の筆頭でもあります。
嫌いな理由としては,
- スコアには有効期限があること
- 学生時代に英語の授業内で実質強制的に自腹で受験させられたこと
などがあります。
そして本書でも同じように書かれていましたが、T〇EICで高得点をとれる勉強をしても,
実際のコミュニケーションではあまり役に立たないだろうというのは私も思います。
この章では「シカハラ」という言葉も登場していましたが,
英語の民間資格のスコアを昇進条件にしている会社もあるようです。
しかしながら,本当に従業員のコミュニケーション能力向上が目的なのであれば,
そんな資格を取らせるよりも,その辺の英語圏に短くても数週間放り込んだほうが
よほど実践力はつくだろうというのが私の考えです。
私は一時期,訳あって東南アジアの某国に1か月程滞在した事があります。
その時の事は後程,旅日記でより詳しく書こうと思いますが。
その国は自国語を公用語としていましたが,英語が準公用語のような扱いであり,聞くところによると,学校教育も全て英語。
英語を話せないのはお年寄りくらいだそうです。
最も衝撃的だったのは夕食を摂った屋台で会った日本なら小学校高学年くらいであろう女の子と話したときの出来事。
現地では日本人が珍しいようで,どこから来たのか?とあちらから話しかけてきました。
流暢な英語で恐れることなく元気に話しかけられて,自身の英語を一部訂正される場面も。
この出来事がきっかけで,私は日本は近い将来その国に抜かれるだろうと確信しました。
そんなこんなでTOEICのスコアは半分より下くらいの私なので,
当然片言の英語で簡単な会話しかできませんが,何とか生き延びて帰ってこれています。
結局のところ,真面目に座学で勉強した小難しい英単語だの文法だのを使おうとして,
難しく考えた結果,間違っていそうで怖いから話せないというのが日本人なのでしょうか。
つまりは本書で書かれているように”結局は「話す内容」”が大事で,
語学だけしか取り柄がないと今後AIに仕事を奪われるというのが既定路線なのでしょうか?
ちなみに,私の親友の一人にTOEICで満点近くを取った人がいます。
その方の片方の親御さんがアメリカ人でその子自身も英語が話せます。
つまり彼はTOEIC高得点だから話せるのではなく,話せるついでに高得点も取れたのです。
ある意味,資格の本来の位置づけもそんなところなのではと思います。
さてここまで,本書では各資格について暗い側面しか紹介されていませんが,最終章の第6章ではそんな資格達を取得したい人に向けて,解決策というか心構えもしっかりと紹介されています。
最後に,本書のまとめですが内容としては資格を取ると貧乏になるのではなく,
「資格さえ取れば」という安直な考えだと罠にはまって投資したお金や時間だけでなく,
生活も苦しくなりますよということなのかもしれません。
(*本書で紹介されている制度などについては変更の予定・可能性がございますのでそこはご注意ください)
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